赤い駅の屋根を
今朝降り出した四月の雨が
音もなく濡らす
人ごみさけ ホームの最後尾
消えかかった白線についた
泥が少しずつ流れてく
どこかで自転車のベルが
しきりに鳴っている
顔を上げると線路の向こう
傘を振る君
「おはよう」声かけると
「待ってて」と笑う
雨は 時とともに
少しずつ強くなっているのに
不思議と日が射して
逃げるように 早く流れる雲
雨粒が反射して辺り
キラキラと白くなる
束の間 電車のベルが
しきりに鳴っている
顔を上げると 階段駆けて
手を振る君
「早く」と怒鳴ると
「バカ」と笑う